動画広告視聴に対する報酬を考える

2021年6月8日

無料のスマホゲームでは、何らかの形で動画広告が入るケースが多いかと思います。

この動画広告、視聴することで何らかの報酬を得ることができるようになっているケースが多いです。
そうでないケース(何かのタイミングで強制的に動画広告が始まり、特にゲーム上なにも報酬は無いようなケース)では、いくらゲームの内容が良くても、レビュー欄で不満が出たり評価が下がったりと、プレイ体験を損なってしまいます。

ただ、ゲームのジャンルによっては報酬を用意し難かったりするのも事実。難しいところです。これは今後あらためて考察するとして、今回は動画広告を入れる際に、考えられる報酬について考察したいと思います。

報酬の種類

動画公告を視聴してもらうことによって、どのような報酬があるのか?を考えてみたいと思います。
大雑把ですが、報酬のタイプを分類分けしてみました。

クリスタルゲット系

ゲーム内アイテムでよく存在する「クリスタル(ゲーム内基本通貨以外のアイテム)」ですが、これらを効率的に取得できる方法として、動画広告を視聴後にクリスタルをゲットするとこができる、というものがあります。
比較的王道な動画広告視聴に対する報酬内容ですし、実装もシンプルで良いですよね。
クリスタル的なアイテムを実装しているゲームであれば、かなり汎用的に使える報酬だと思います。

報酬料のバランスには気を使う必要がありますし、広告視聴でないとほとんどクリスタルが得られない、といった形にしてしまうと、それはそれで広告視聴が必須になってしまうイメージを持たれ、不満が出るので要注意です。

(レア)アイテムゲット系

動画広告を視聴することで、現在のプレイヤーの状態から見てやや強めの武器・防具であったり、回復系のアイテムをゲットすることができる、というものがあります。
こちらも割とよく見ますし、なかなか進行しないようなむず痒い状況を少し打破できるということで、有用です。

ただ、ゲットできるアイテムには気を使う必要がありますね。その時のプレイヤーの状況を見た時に、あまり強すぎるものをゲットしてもバランスが崩れますし、いらいないアイテムをゲットしたときには不満しか生まれません。
また、プレイヤーの状況を見てどの武器・防具・アイテムを与えるか、というロジックを作らなければいけないですので、実装もやや面倒くさいですよね。

武器・防具・アイテムの種類・量が多く、武器・防具・アイテムによってプレイヤーが少しずつ強くなっていくタイプのゲームには適していますが、上述の通りバランスにはかなり気を使う必要があります。

スタミナ回復系

ステージをプレイするためにスタミナを消費するタイプのゲームの場合に、動画広告を視聴することでスタミナを回復し、続けてゲームをプレイすることができる、というものがあります。

ここではスタミナ制のゲームに関する賛否は特に触れませんが、動画広告を視聴してもらうきっかけの一つとしては正当ですので、有用かと思います。実装は楽ですね。

ゲーム内報酬倍増系

ステージをクリアしたときに得られるゴールドや経験値等のパラメータを、動画広告を視聴することによって何倍かに増やすことができる、というものがあります。
ステージをクリアするごとに強くなったりゴールドを取得するようなタイプのゲームには相性の良い報酬内容で、よく見るオーソドックスな形になります。

報酬が多すぎでそちらにバランスを置いてしまうと、広告を見ないとなかなか進めないということになりますし、
報酬が少ない(倍率が低い)と、広告を見る価値が無いな、となりますので、このあたりのバランス調整は必要ですが、上述したタイプのゲームには良い選択肢ですね。実装も比較的楽ですし。

ヒント系

パズルや謎解き・脱出ゲーム等で、行き詰まったときに動画広告を視聴することによって例えば次の一手を教えてくれるまたは次の一手のヒントを教えてくれる、というものがあります。

パズルや謎解き・脱出ゲーム等を作っている側からしたら自力でクリアしてほしいという思いはあると思いますが、これらのゲームを解く能力・経験は個人差がありますので、「詰まってしまったのでやめよう」「攻略サイト見ちゃおう」といったことをある程度抑止出来るという意味でも有益ですよね。

ただ、パターン別にヒントや解答を用意しなければいけないため、実装は結構面倒くさいです。
とはいえ上述のタイプのゲームであれば実装する価値があると思います。

フィーバー誘発系

主にクリッカータイプのような、時間経過で出現する回収アイテムや製造アイテム等を、動画広告を視聴することによってどんどんアイテムが出現したりアイテムが製造されてみたりする、というものがあります。

ゲームタイプは割と限定されますが、長期間に渡ってじっくりと進めていくクリッカータイプのゲームにおいてはとても相性の良い報酬タイプです。
演出方法にもよりますが、実装する内容自体はシンプルですし、ゲームを続けてくれる方は割とこのタイプの動画広告は視聴してもらいやすい手段の報酬になるのではないでしょうか。

コンティニュー系

プレイヤーがやられてしまった際に、通常だと最初に戻されてしまうところを、動画広告を視聴することによってそのまま続きを行うことができる、というものがあります。

これ単体では割と弱い報酬かな、と思います。
コンティニューを行うことがかなり有利になるような状況でないと、なかなか報酬としては厳しいかな、と。
次に記述していますロスト回避系と合わせて考え、比較検討するのが良いと思います。

ロスト回避系

例えばプレイヤーがやられてしまい、何かを失ってしまう状況のときに、動画広告を視聴することによって失わずにすむ、というものがあります。

人は一度得たものを失うということに対して、すごくストレスを感じるそうです。その心理を利用した報酬と言えます。
前述したコンティニューという方法を動画広告視聴によって提供するとか、戻されるんだけど道中で得たアイテムや経験値はロストしないとか、やり直すよりは動画広告を見る時間の方が圧倒的に時短になれば、動画広告を視聴しようと思う動機になります。

まとめ

動画広告の報酬タイプ分類を改めて確認しても分かることなのですが、これらの報酬はほぼ例外なくゲームを進める上で「時間短縮」を与えています。

ゲーム内で時間短縮することができるというメリットが、動画広告視聴という時間を消費する行動を強いられているにも関わらず許せているのです。
この行動原理から外れると、ユーザーは動画広告に対して不快感を抱いてしまう、ということに注意をする必要があります。

雑記